Seasonal Scenes

20011117

落ち葉の香りに誘われて


紅葉で華やぐ谷中霊園桜並木

雨が降った次の日、雲が高くなって太陽が顔を出すと、湿った落ち葉の絨毯から何ともいえない香りが立ち上ってきて、辺り一帯がその香りに包まれます。

谷中霊園もちょうどそんな季節になりました。森林浴ならぬ紅葉欲?渋滞に巻き込まれなくても十分堪能できるかもしれません。ここに温泉があれば文句なしなのですが...お墓に温泉ってのはね〜

バカなことを考えながら歩いていると、あっという間に夕暮れが迫ってきます。

夕日を見つめるもう1匹がいました。

みなさんご存じの“ボス”です。最近めっきり年を取ってしまって、毛並みも尻尾もボサボサなのですが、耳と目だけは凛としています。今年の冬も乗り越えられそうです。

夕方桜並木を歩くと、夕日を見つめてぼんやりしているボスをよく目にします。

最近仲間が出来たようで、ほとんど立体コピーの様な、もう一匹が一緒に夕日を見ています。もしかしたら子供なのかもしれませんが、ボスは去勢されていると聞いた憶えもあります。

紅葉を見ると、私達人間は、落ち葉のグラデーションが綺麗だね〜とか、お鍋が食べたいね〜なんてお気楽に考えますが、野良の猫にしてみれば厳しい冬の始まりを見ているのかもしれません。

“冬”と聞いて私達は何を連想するのでしょうか?

あの事件以来、もっともっと遠くまでイメージする力が欲しいと思います。氷点下の崩壊現場で働く人達や、吹雪の中、空爆で壊された家の片隅で震える子供達のことを、イメージして感じることが出来るなら、私達はこれ以上間違いを繰り返さなくても済むかもしれません。


endou@yanaka.com