Seasonal Scenes

19980211

諏方神社節分祭

 毎年2月3日は谷中の鎮守「諏方神社」にて節分祭が行われます。まず、翁が現れて神楽を奉納します。多分その場を清めて、これからお祭りが始まるんですよ、というような意味があるのでしょう。

翁が退場した後に鬼が出現します。ひとしきり舞った後、待ってましたとばかりに豆を投げつけられます。


 「節分」は古代中国の学問「陰陽道」から伝搬したお祭りといわれます。2月3日は旧暦の大晦日にあたり、新年を迎えるにあたっての厄払いをする儀式とされ、日本では室町時代から宮中の年中行事になっていたそうです。

 別の解釈では、お正月に門松でお迎えした神様が、2カ月ほど俗世間にいて、世間の毒っ気に染まって鬼になったところへ豆をぶつけて神様が吸い込んだ悪とともに追い払ってしまうんだ、という説明もあります。いずれにしても厄払いなのですが、私は後者の説が気に入っています。

その様なこととは関係なく、今でも子供達にとっては楽しいお祭りのようで、鬼が退治され会場に豆がまかれるときには大騒ぎになります。


鬼は舞台まで追い立てられそでから逃げていきます。   袋に入った豆にまじって、スナック菓子やビニールのボールも投げられます。

 世間では少年の犯罪が騒がれている中、このような子供達の顔を見ていると、谷中の子供達はまだまだ大丈夫そうだな〜なんて安心します。

 そろそろ帰ろうかと鳥居をくぐると、豆やスナックでカゴを一杯にした子供達の自転車が目に止まりました。豆まきは何回かに分けて行うので、その都度、取ってきた物をカゴに入れて次の回に望んでいるようです。

 せっかく取ってきたスナックをこんなところに置いておいたら、誰かに取られてしまうのではないかと思うのですが、いっこうにお構いなしのようです。谷中だから取る人もいないかな?などと考えたのですが、もしかしたら子供達にとっては「取られても構わない物」だったのかもしれません。

 そう考えると、何年か後には豆やスナックに混じってG-SHOCKでも投げないと、節分に人が集まらなくなりそうです。色々なお祭りがありますが、その意味を伝えながら楽しんでいかないと、何も残っていかないかもしれませんね。

※今回の取材では、お神楽の「松本社中」松本源之助さんに大変お世話になりました。お話をお伺いして私達はすっかり源之助さんのファンになってしまったので、その内「やなか.chic」のコーナーで紹介したいと思っています。


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